林望先生風邪はひかぬにこしたことはない
内容(「BOOK」データベースより) たかが風邪と侮るなかれ!若き日々は「林の慢性風邪」といわれ、無理をしたら慢性気管支喘息になり、その発作で肋骨を骨折。そのためにうけた損失はどれだけあることか。生来の体質から風邪に弱かった著者がつらい経験から編み出した徹底的風邪予防法。いわく「不義理のすすめ」「林流鼻洗道」「暖房の極意、冷房の達人」…風邪予防は万病予防に通ず。積極的に健康で愉しい生活を送るためのリンボウ先生「風邪」講義。
  • 文庫: 249ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2008/11/10)
  • ISBN-10: 4480425330
  • ISBN-13: 978-4480425331
  • 発売日: 2008/11/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
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風邪の予防

 ■ミーポ

もう一つの秘密兵器は浜口微生物研究所というところが開発した、ミーポ(Mipo)というものです。ラベルに、
「一噴き安全生活、生活環境洗浄剤」
と、頼もしいことが書いてあります。
 これはどういうものかというと、毒をもって毒を制すではないけれど、菌でもって菌を制すというのです。
 つまり、人間の身体というのは無菌状態ではありません。
 皮膚や粘膜には、いつも無数の菌がくっついている。こういうとなんだか不潔なようですが、そうではありません。たとえば歯の表面は常時菌でびっしりと覆われているから、虫歯菌が入れないわけです。常在菌が健全に保たれている歯は、健康な歯なのです。
 皮膚にも同じように常在菌があるわけですが、これがたとえばアトピーなどになり菌のバランスが崩れてくると、そこに日和見感染が起こり、吹き出物がでたりなどする。ということは人体の表面を、人体に有用かつ害のない微生物でびっしりと膜のように覆っておけば、外来の悪い病原体は入れないという理屈です。
 ミーポとはマクシマム・イノベーティブ・ポテンシャルの略で、納豆菌の一種のOYK菌という菌がもとになっています。
 これは人体にまったく安全な人間と共生する菌であって、それを分離して純粋培養したものが水溶液の中に入っている。納豆菌というと、なんだかネバッて糸を引きそうですが、臭いも何も全然ありません。納豆菌自体、非常に殺菌作用があるといいますが、要するにそれと同じ原理です。
 声楽界の大御所、畑中良輔先生が、このミーポをいつも持っておられる。
 そして、こないだオペラでお会いしたら、これで風邪を防ぐのです、と教えてくださった。
「ははあ、さっそく私も試してみます」と申し上げたところ、
「じゃあ、これをあげましょう」
といって、ご親切に私にもミーポをくださった。
 畑中先生はミーポをいつも持って歩いて、どこか近くでゴホンといえば、これをシュッと口の中や鼻の中へ吹き付けたり、目の前の空気中に噴霧してそれをスッと吸ったりなさるそうです。
 そうすることでバリアができ、風邪菌を体内に入れずに済む。

 いままでは毎年冬になると何度も風邪をひいて困っていたのが、ミーポのおかげで今年は風邪をひいていませんということでした。
 ミーポは風邪の予防だけでなく、ほかにもいろいろな働きがあります。実はいま試してみているところですが、顔を洗った後にシュッと吹き付けておくと、ごく薄いバリアをはったような感じになる。私はアトピー体質なのですが、常に保湿されているので全然アトピーにもならず、触ってみるとツルッ、フワッという感じで、とても快適です。
 このごろは私だけでなく、うちの奥さんも、「じゃあちょっと試してみようかしら」といって、朝晩、顔を洗った後にこれを吹き付けています。するといままで小じわがあったのがスルーッとなくなり、いかにも美しく保湿された感じになるといっていました。それに触った感じがとてもいい。
 やはり、この菌には、よい働きがあるように思います。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
林 望
1949年東京生まれ。作家・書誌学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。専攻は日本書誌学・国文学。英国ケンブリッジ大学客員教授、東京芸術大学助教授を歴任。『イギリスはおいしい』で日本エッセイストクラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』で国際交流奨励賞を受賞。著述の他、声楽コンサート、詩作、料理などでも「自分らしさ」を表現している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)